NO.879 続「甘え」の構造、読んでみました「甘え」理論の決定版!

 

 

 

 

 

土居健郎 著

続「甘え」の構造

読んでみました

 

 

 

すでに読み終えていましたが

改めて

読み直しました

 

 

 

 

著者の土居先生は

この〝続「甘え」の構造〟を

読んでから

前著〝「甘え」の構造〟を

読んで欲しいと書いています

 

 

 

なぜなら

続「甘え」の構造は

前著の不足を補い

それを完成したものであるから

ということで

 

 

  

 

 帯には、名著「甘え」の構造の著者が書き下ろした待望の第2弾!飛躍!日本の「甘え」から世界の「Amae」へ。名著誕生から30年、大きく育った「甘え」理論の決定版!」とあります

 

 

 

 

前著は日本から海外まで

広く読まれたけれど…

著者の真意が正確に

読者に伝わっていなかった

〝いったい甘えを

いいと言っているのか、

悪いと言っているのか、

よくわからない〟という

批判を受けたこともあったそうです

 

 

  

 

 著者は、前著〝「甘え」の構造〟 を出版したとき、現代の時代精神が「甘え」に対して否定的であるということを知ったそうです。実際、甘えは良いものであると、細かく書かなくても日本人の共通認識だと思っていたけれどそうではなく誤解がうまれてしまった。そこで「健康な甘え」と「病的な甘え」をはっきり区別する方がわかりやすいのではないかと考えたとあります。

 

 

 

【現代の時代精神は「甘え」に対して否定的である】

  •  p117 要するに「甘え」はしばしば困った結果を生み、その方が目につきやすいかもしれないが、しかし本質的にはそれはよいものであるというのが私の主張であった。そしてそのような理解を可能にするコトバが日本語に備わっていることを自慢にしてもいいぐらいに思っていた。

 

  • ところがどうも私は楽観に過ぎたようだ。というのはその後の社会変化はすさまじく、「甘え」に対する風向きが一層強くなったからである。かくして甘えることはよくないことだという風潮が全国を掩うようになった。そして巷には病的な甘えが氾濫しはじめた。そうなったのは他でもない健康な甘えを駆逐したためだが、そのことがなかなか一般の理解するところとならない。もっともこのことはふつうの日本人、したがってあまり目立たぬところでひっそり暮らしている人たちにはわかっているのかもしれない。却って現代社会の第一線で活躍している人たち、とりわけ一般の知識人にわからないのだろう。

 

 

 

 土居先生は

〝甘えを本質的には

よしとする

日本人一般の考え方に

変わりはないだろう〟と

思っていたそうです

しかし、〝時代の影響

「甘え」がそこにあっても

それを無視するか

あるいは否認することが

社会一般の常識となってしまった〟

と第4章で考察されています

 

 

 

 

【「甘え」が悪いとされてしまった原因は?】

  • p118 まず問題は、「甘え」が依存と同一視されたことにより胚胎したと言うことができる。「甘え」はたしかに相手あっての甘えであるから感情的依存を含んでいる。(中略)自主独立をよしとする西洋の近代精神の観点からは、そしてこれがもちろん現代日本を支配するイデオロギーでもあるのだが、依存は甚だ望ましくない状態ということになる。かくして依存と同一視される甘えもひとしく疑わしいものとなったのである。    

 

 

  【「甘え」は良いものである】

  • 甘えという心理は生後まもなく始まるということは前に述べた。はっきり甘えといえるようになるまではしばらくかかるとしても、生まれたばかりの幼児であっても母親との間にすでに活発な相互作用があることが最近の研究でわかっている。そしてこの甘えはその後の精神発達においてさまざまに変形し、いわば表面から姿を消したように見えることがあったとしても、しかし決してなくなってしまうわけではない。実際それは機会さえ恵まれればいつか素朴な元来の形で復活することもあり得る。のことは心を病む患者に精神分析的な精神療法を行う際の前提であり、ある意味ではその目標となっていると言ってもよい。

 

 

 

 【心の病・犯罪の頻発は 本当の「甘え」が育たなかったせい?

  • p124 現代は本当の甘えが育たず、陰湿な妬みがはびこる時代である。本当の甘えが育たないということは人間関係の基本に信頼や安心が欠けているということである。であるから人々に落ち着きがない。他方、甘えられぬので甘えたい欲求がつのり、しかも大っぴらに出来ないのでそれが潜航する。また陰湿な妬みがはびこるということは人間関係に常に火種がくすぶっているということである。したがっていつ火の手が上がらないとも限らない。以上のべたようなことが原因となって、現代においては心を病む者が激増し、また犯罪の頻発など社会不安が増大するに至ったのであると考えられる。もちろん心の病と犯罪はいつの時代にもあった。しかしこれらが今日程、世界的規模において、深刻な問題となったことはないのではないか。特に十代思春期の子供たちは元来不安定なので、今日のような時代はなおさら問題をおこしやすい。私は精神医学を専攻するようになって半世紀たつが、初期の頃はこの年代で精神科医を訪れる者を見ることは極めて少なかった。しかしその後急速にふえ、したがってこれら年少の患者を専門とする精神科医の数もふえて、今や思春期青年期精神医学会といえば日本国内でも世界的にも最も活発な学会となっているのである。

 

 

 

 私は

子育て支援のお手伝いを

させて頂くなかで

「甘え」が乳児と

世話をする母親との間の

最初に成立しなければいけない

最重要なものだと

知っていました

 

 

 

  

自分も、育ててもらうなかで

〝この子は末っ子の甘えん坊〟と

いわれた時期がありました

ですから、自分は甘えん坊だし

甘えていいことを周りから

許してもらっている

そんなふうにも

感じとっていました

 

 

 

 

そして、その「甘え」に満足すると

学校生活では

活発に元気よく自立して

活動できることも体験しました

 

 

 

 

ですから、乳幼児期の

「甘え」は良きものと肯定して

満たして

あげなければいけない

と実体験からも信じています

 

 

 

 

 人間は皆弱いし

「甘え」=愛されている

という場所があって

〝自分はこれでいいんだ!〟と

自己肯定感、

自尊感情に繋がるのだ思います

 

 

 

 

老境に入り振り返ってみても

私の人生の苦難に活躍したのは

幼少期の愛された記憶でした

 

 

 

 

しっかり受け止め

「甘え」させてもらった

その体験が

ダメになりそうなとき

「元気出せ」

「このままの自分でいい」と

自尊感情を高めてくれている

のでした

 

 

  

 。。。。。。。。。。。。。。

 

 

 

 

私は、以前

前著『「甘え」の構造』の感想を

ブログに書いたのですが

その本に出会ったのは

温泉施設の本棚でした

 

 

 

近年、教育者や精神科医の

先生方の本は

皆さん、口を揃えて

乳幼児期の「甘え」の大切さを

仰っています

 

 

 

ですから

『「甘え」の構造』を読んだとき

先生の主張がまっすぐ入ってきました

外国にはなくて日本にはある

「甘え」と「Amae」の

その発見現場の喜びも

ピンポイントで飛び込んできたのです!

 

 

 

 

逗子ストーカー殺人事件も

広島の呉殺人事件も

背景に幼少期の愛が満たされない

愛のストレス病が起因している

と、前にNHK特集でやっていました

 

 

 

 

土居先生は

現代における子供の受難と

反抗について

『現代の子供たちはもはや

無邪気に無心に甘えることが

できない。それでいろいろ

悪さをする』との

ことばで表現されています

 

 

 

 

そして、『人間は本来

幼年時代に甘えることで人間関係に

組み込まれ、甘えながら信頼を学び、

次いで社会で自立するに至る』

『「甘え」は人間成長にとって

必要不可欠』

と主張されています

 

 

 

 

この本にあるように

今の日本で実際、「甘え」が悪い

と思っている方が

多数いるのであれば

 

 

 

 

絶対、このままにせず

社会の第一線で活躍している

知識人の方をはじめ

皆さんに知っていただくことが

先決だと思いました

(もしかしたら、、、本当の甘えを知らない方も多くなっているのかもしれませんが)

 

 

 

 

 この本は勉強になることが

たくさん書かれていました

続編を含め2冊

ひとまとまりで

『良書』だと思いました

 

 

 

 

 2020/05/18

 

 

 

  

過去ブログ:「甘え」の構造を読んでみました

 

 

 

夏目漱石「坊ちゃん」甘えを満たす養育者の愛 

 

 

 

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